Takuya Yada's 重金属ブログ

関西で音楽活動(主にメタル)をしているTakuya Yadaがメタル、イギリス、映画について考察するブログです

重金属系譜図3 NWOBHM(ニュー・ウェイブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィー・メタル)

こんにちは!
ついに前進します!! 今日は、70sハードロックから発展したNWOBHMについてです。
やっとメタルに入っていくわけですが、80年代はメタルのサブジャンルが沢山生まれた10年でした。いわば、メタル黄金期!
まずは70sハードロックから直接的に進化したイギリスのムーブメントについてです。

 

 

1️⃣ 定義


まずは、NWOBHMについてです。
これは、New Wave Of British Heavy Metalの頭文字をとった80年代に起こったムーブメントです。
前回のは70sハードロックと定義付けましたが、その中には、Judas PriestBlack SabbathMotorheadなど今で言うメタルバンドも含まれていましたよね。

彼らもNWOBHMのハシリだと定義も出来ますが、1番の定義の違いはDIYで制作し独立レーベルでリリースするという点になります。
その違いを1979年発行のSounds誌でジャーナリストのGeoff BartonがNWOBHMと新しく定義したと一般に言われています。

大きな違いとしては、セルフプロデュースを行うことや、メジャーレーベルではなく、独立(個人)レーベル(Neat Records. Heavy Metal Records. Ebony Recordsなどが有名)など、DIYで音楽を発信するバンドが多数を占めたことです。
Iron MaidenのデモThe Roundhouse Tapesもこの方法で制作、販売されました。

イギリスはパンクムーブメントの起こる中でこのNWOBHMのシーンは大きくなり、特に労働者階級の支持を得て、80年代初期にムーブメントへと変わります。
しかしながら、DIYで行う欠点として、演奏や録音のクオリティーがメインストリームに比べ低くなることは度々メディアから指摘されました。

その欠点を逆手に取り、ビジュアルイメージやステージパフォーマンスに力を入れるバンドが増え、結果的に、ヨーロッパ、アメリカ、日本でシーンとして定着しました。

MTVの登場により、NWOBHMは衰退し、何千といたバンドは数えるほどに減ってしまいますが、Iron Maiden、Def Leppard、Saxon、Venom、Diamond Headなど現在も活躍するバンド、そして、メタルの多様性を次のレベルへと持っていく重要なシーンとなりました。

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2️⃣ 主要バンド


シーンは70年代中期から始まっており、国際的な成功を収めた世代の次の世代のバンドで独立レーベルなどを使いデモを発表したバンドたちが一般的にNWOBHMと言われています。

ロンドンのAngel Witch , Iron Maiden , Praying Mantis , Samson。
バーンズレーのSon of a Bitch (後のSaxon)。
スタウアブリッジのDiamond Head、シェフィールドのDef LeppardニューカッスルRaven. Tygers Of Pan Tang. Venomなど、70年代では、大手の会社がロンドンにあることでバンドがロンドンに集中していたのが、地方で活動して成功するようなバンドが増えました。

その後、80年代初期に上記のバンドたちがメジャーレーベルに移籍して、成功することにより、地下シーンはメインストリームのムーブメントへと変わります。

 

 

3️⃣ 考察

僕がマーケティング的に一番好きな時代が、NWOBHMです。
お金やコネクションがなければ、デビューできないと言うそれまでの常識を大きく変えたムーブメントだと思います。(今は、SNSによりこのムーブメントがもう一度起こってもおかしくないと考えてます)
80年代イギリスといえば、サッチャー首相による大改革で、イギリスが経済面で立ち直る、政治的にも重要な10年間ですよね。

憶測ですが、70年代初めから活動しているバンドはギリギリセーフだとして、(失敗なら活動はやってダメだったのでと音楽を諦めれますし)大恐慌の中で音楽活動を始めるのは本当に運が悪いと言うのか、それどころではなかったはずです。
そこから、DIYという方法へと行き着いたのではないでしょうか?

現代で言うと、インターネット(アマゾン等)の出現により出版界が衰退し、コミケの方が盛り上がってるように、音楽でもこのマーケティングが今だから、はまるような気がするんですよね。
今は評価経済という新しい要素は入るものの、80年代のイギリスのような経済恐慌はないので、やりようはあると思います。

個人的にも、それを踏まえて、ブログや、配信と始めていることも事実ですので。

大衆音楽とアングラの違いは、やはり自由度ですよね。
メジャーでは、多額の製作費が動くので、バンドが大きくなるほど、音楽性の身動きが取れなくなります。
ファンから求められるのが、その自由度、独自性となれば、メジャーでも自由度は高く活動できると思うんですが、売れ線の曲で一発当ててなどしたら、その瞬間、未来の音楽的自由度が完全になくなるという難しさ。

それを踏まえて、このNWOBHMのムーブメントはバンドにとって最高のムーブメントだったと思うんですよね。
もちろん、自由になりすぎて、演奏力のないバンドが大量に溢れて、自滅したことも容易に想像がつきますしね。

音楽性については、また個々のバンド紹介の際に、じっくりとやっていきたいと思います。

長くなりそうですので、今回はここまでで。
では、また次回! 🤘🤘Stay Metal🤘🤘