Takuya Yada's 重金属ブログ

関西で音楽活動(主にメタル)をしているTakuya Yadaがメタル、イギリス、映画について考察するブログです

【重金属映画紹介】ニール・ジョーダン 「The Brave One」

新しい試み始めます。
公式発表のストーリーだけでネタバレに一切触れずに映画紹介していく感じの企画です。
題して「重金属映画紹介」。笑

決してメタルの映画を紹介する企画ではありません。 すぐ終わりそうなんで。笑

1回目はアイルランドの監督ニール・ジョーダンの「ブレイブワン」。


 

 

 

 

あらすじ

ニューヨークでラジオパーソナリティをしているエリカ・ベイン(ジョディー・フォスター)は婚約者デイビッド(ナヴィーン・アンドリュース)との結婚を目前に控えていた。

ある夜2人で犬の散歩をしているところを3人の暴漢に襲われ、デイビッドは殺され自身も瀕死の重傷を負ってしまう。

退院の後、事件の記憶がおぼろげだったエリカ。
身の安全と精神的安定のために、不法で拳銃を入手。

しかし、この銃と偶然の事件が重なり、彼女は事件の記憶が鮮明になるにつれ、犯人を追いかけ始めるのだが。。

 

 

 

考察

 

一見よくある執行人系の映画かと思うかもしれませんが、やはりそこはアイルランドの監督ニール・ジョーダン
有名な作品としては、ブラッド・ピット主演の「インタビューウィズバンパイア」や「クラインゲーム」「マイケルコリンズ」などがあります。

クライム系が得意な監督ですが、観客の心を一瞬で映画に引き込むのが特徴で、アメリカの監督シドニー・ルメットが作風的に近いと思います。

さて、今作ではゴロつきが一般市民に絡むシーンがいくつも出てきます。
もちろん冒頭のエリカの夫が殺害されるシーンもそうなのですが、演出が極めてリアルで怒りと胸糞悪さに心臓がドキドキします。

有名ラジオパーソナリティのエリカが詩的で文学的な放送をするシーンから映画は始まり、その高潔知的で文化的なエリカと事件後、一生治らない心の傷を負った暴力的で悪への裁きを要求する2人のエリカという対比で映画は進みます。


そして、一連の事件を担当するマーサー刑事という司法が登場し、この善、悪と中立の立場である司法の3つが素晴らしく絡み合う作品となっています。

作品としては最後に答えが出ているのですが、人や状況、見るタイミングによってエンディングは変わって見えるような普遍的な問題を提議している作品です。

ゴロつき達は何も考えてない頭の悪い感じで描かれている事により、彼らは現在その時点だけで生きている人、そしてエリカの様にある程度、未来過去と見渡せる人、そして世論や司法と客観視して善悪を推測しか出来ない部外者という関係性も見ものです。

 

あくまでエリカ主観で映画は進むことにより、衝動が上手く人間の行動に作用することもあれば、その反対もある。
しかし、その衝動を押さえられるのかという心理的描写も見事です。

ハリウッド系のスッキリ成敗映画を求めている方にはあまりオススメはできませんが、シドニー・ルメット系のクライム映画や心理系の映画が好きな方には是非試して頂きたい映画です。

 

 


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