Takuya Yada's 重金属ブログ

関西で音楽活動(主にメタル)をしているTakuya Yadaがメタル、イギリス、映画について考察するブログです

重金属系譜図7 - ドゥームメタル Cathedral (メタル系譜図)

今回はDoom Metal界のレジェンドCathedralをご紹介したいと思います。
世界最速と言われたNapalm DeathのシンガーLee Drianが脱退後、世界で最も遅いバンドを組みます。
フォーク、サイケ、そしてDoom Metalが見事に調和したバンドでした。

 

 

 

 

 

 


キャラバン・ビヨンド・レディンプション

 

1️⃣ 結成

 

1989年にNapalm DeathのボーカルをやっていたLee Driranがバンドの方向がパンクからデスメタルに向かっていたために脱退。
イギリスのコベントリーにてMark Griffithsと出会い、お互いの共通がBlack SabbathやWithchfinder General. Pentagramの様なDoom MetalだとなりCathedralが結成されました。

元Acid ReignのGarry Jenningsが加入し、91年にデビューアルバム「The Forest of Equilibrium」がEarache Recordsよりリリースされます。

限りなく遅く、ドロドロとしたDoom Metal作品となります。

デビューアルバムとはガラッと作風が代わり、よりBlack Sabbath寄りの作品「Soul Sacrifice」というEPをリリースした後にバンドはコロンビアレコードと契約し、93年に「The Ethereal Mirror」をリリースします。
レーベルはBlack Crowesの様なロック、ストーナーロックな作品を要望していたため、このアルバムのリリース後、バンドは契約を切られることになりました。

Lee Dorrian (Vo)     Garry Jennings (Gt)     Adam Lehan (Gt)     Mark Griffiths (Ba)     Mike Smail (Dr)

1st : Forest of Equilibrium (91)

Lee Dorrian (Vo)     Garry Jennings (Gt/Ba)     Adam Lehan (Gt)       Mark Wharton (Dr)

2nd : The Ethereal Mirror (93)

 

 


Ethereal Mirror

 

 

2️⃣ Earache期

 

バンドはEaracheに戻り95年に「The Carnival Bizarre」をリリースします。
バンドはBlack Sabbathに認知され、このアルバムではギターのTony Iommiが「Utopian Blaster」という曲でソロを提供することになりました。

96年には「Supernatural Birth Machine」を98年には「Caravan Beyond Redemption」をリリースします。

作風が変わったのが、01年の「Endtyme」で、ロックの要素が極端に減り、スローテンポのDoom Metal作品となります。
ジャケットアートはSunn O)))のStephen O’Malleyが制作しました。
このアルバムを最後にバンドはEaracheを離れます。

Lee Dorrian (Vo)     Garry Jennings (Gt)    Leo Smee (Ba)     Brian Dixon (Dr)

3rd : The Carnival Bizarre (95)
4th : Supernatural Birth Machine (96)
5th : Caravan Beyond Redemption (98)
6th : Endtyme (01)

 

 


カーニバル・ビザール


3️⃣ レーベル変更から解散

 

 

 

 

バンドはSpitfire Recordsに移籍し、02年に「The Volt Coming 」をリリースします。
前作に比べ、メロディアスになり、ロック色も戻った作風になりました。

バンドはNuclear Blastに移籍し、05年に「The Garden of Unearthly Delights」をリリースします。
Leeが60sのホラー映画や特撮、サイケ音楽の受けているということから、その要素が入り、Doomとサイケの融合という実験的な作品となり、10年の「The Guessing Game」という奇跡的な作品が生まれることになります。

06年頃からある理由で解散を考えていたバンドですが、2012年にその年のツアーで解散、そしてラストアルバムを制作すると発表します。

13年に「The Last Spire」をリリースしバンドは解散します。
作品はまさに集大成という感じの完璧なDoom Metal作品となり、サイケな要素も少し残っていてCathedralがたどり着いた完成形を見せつけました。

Lee Dorrian (Vo)     Garry Jennings (Gt)    Leo Smee (Ba)     Brian Dixon (Dr)

7th : The VIIth Coming (02)
8th : The Garden of Unearthly Delights (05)
9th : The Guessing Game (10)

Lee Dorrian (Vo)     Garry Jennings (Gt)    Scott Carlson (Ba)     Brian Dixon (Dr)

10th : The Last Spire (13)

 


The Guessing Game

 


4️⃣ 考察

デビューから様々な形でDoom Metalを表現してきたCathedralですが、Lee Drianはかなりのレコードコレクター。
自身でもRise Above Recordsという会社を作り後続のバンドを育てています。

グラミーを取ったThe GhostもこのRise Above出身です。

1stアルバムは元ナパームデスの、、と宣伝されたために、結構、賛否があった様ですが、2ndでCathedralというスタイルを確立しました。

2000年代は実験的な要素が入るのですが、ただ重いのではなく、よく聞くと重低音なだけで結構良質なロックアルバムなんですよね。

「The Garden of Unearthy Delights」ではLeeの原点でもあるパンクの要素を取り入れ、そして「The Guessing Game」という究極にたどり着きます。

「The Guessing Game」は本当にアートの領域に達していると個人的に思います。
あの空気感、ホワイトノイズ、プログレやサイケの要素も入り、漂う緊張感がたまりません。

そしてラストアルバムではバンドの集大成として全てが詰まった作品だと思います。

僕個人、Lee Drianさんとは何度かお話しする機会があり、面白い話をたくさん聞かせて頂きました。
特に気になっていたのが、ロンドンでのバンド最後のライブで舞台両端にモニターが用意され、映像が流れていたのですが、ウルトラマンのバルタン星人の回が流れていたんです。笑
(谷隊員がやられてバルタンが分身するシーンです)

後々、直接聞いてみた所、ウルトラマンの大ファンで、特にバルタンが好きで使ったとのことです。
確かに、日本公演の際に特撮フィギュアを買ってかえってる写真がバーン!のコラムで紹介されていました。

あとは、イギリスのハマー社のホラー映画の映像も流れていましたが、それは容易に想像できました。

好きな事を自分なりに表現し、それを評価してもらえるのはアーティストとしては一番最高の形ですよね。

ちなみにLeeさんはナパームデス時代もパンツにConfuseのパッチを付けていたりと日本のハードコアパンクが大好きで、他にはS.O.B.やG.I.S.M.が大好きだそうです。

 

 

オススメですが、正直「Guessing Game」なんですが、Doom Metal、そしてCathedralのスタイルを考えると、The Carnival Bizzare, Super Natural Birth Machine, Caravan Beyond Redemptionあたりから入るのがオススメです。

僕はSuper Natural Birth Machineからでした。

そして「The Guessing Game」にたどり着いて頂きたいと思ってます!

 

 


スーパーナチュラル・バース・マ