Takuya Yada's 重金属ブログ

関西で音楽活動(主にメタル)をしているTakuya Yadaがメタル、イギリス、映画について考察するブログです

Saint Vitus 初級編 (重金属系譜図7 - ドゥームメタル)(メタル系譜図)

今回は前回のThe Obsessedに続きDoomのレジェンド「Saint Vitus」をご紹介いたします。


 

 

 

 

 

 

1️⃣ 結成

1979年にアメリカのL.A.にてScott Reagers (Vo). Dave Chandler (Gt). Mark Adams (ba). Armando Acosta (Dr)により結成されます。
バンド名は「Tyrant」でした。
80年に「Saint Vitus」に改名します。(Black SabbathのSt. Vitus Danceの曲名から)

初期のサウンドは、Black Sabbathの様なサイケなサウンドと、Black Flagの様なパンクサウンドが合体していました。
80年代初期はメタル界に上手く馴染めなく、バンドはBlack Flagの助けによりパンク界隈で活動していました。
Black FlagのギターのGreg Ginnはバンドを彼のレーベルにサインさせ、84年にデビューアルバム「Saint Vitus」をリリースします。

85年には「Hallow’s Victim」をリリースします。
当時はパンクとメタルは対立しておりましたが、パンクレーベルからこのアルバムが出た事により、その溝はどんどん浅くなって行ったとGinnは語っています。


Scott Readers (Vo)     Dave Chandler (Gt)     Mark Adams (Ba)     Armando Acosta (Dr)

1st : Saint Vitus (84)
2nd : Hallow’s Victim (85)

 

 


Die Healing

 

2️⃣ Wino

 

Reagersが脱退し、その後任としThe ObsessedのWino Weinrichが加入します。

86年に「Born Too Late」をリリースします。
彼の加入で、パンク色は薄くなりよりDoom Metal色が強くなります。

88年に「Mournful Cries」をリリースします。
この作品もパンク色は残っているものの初期Black Sabbathの様なスローでダークな作品になります。

90年に「V」をリリースし、WinoはThe Obsessedに戻るために脱退します。

WIno加入時の音楽性の変化により、ヨーロッパで注目を浴びる様になります。


Wino Weinrich (Vo)     Dave Chandler (Gt)     Mark Adams (Ba)     Armando Acosta (Dr)

3rd : Born Too Late (86)
4th : Mournful Cries (87)
5th : V (88)


 

 


Mournful Cries

 

3️⃣ 解散 ~ 再結成

Winoの後任として元Count RavenのChristian Lindersonが加入します。
そしてDon Dokkenプロデュースにより92年に「C.O.D.」をリリースします。

そのツアー中にオリジナルシンガーのReagersが戻り、95年に「Die Healing」をリリースします。
しかしながら、96年にバンドは解散を発表します。

メンバーはそれぞれ様々なプロジェクトに分かれましたが、03年にWino期のラインナップで再結成ライブが行われました。

10年にChandlerが新作を制作中だと発表します。
そして12年に「Lillie : F-65」をリリースします。

その後、Winoは再びThe Obsessedの再結成で脱退し、Reagersが復帰し、19年に「Sanin Vitus」をリリースします。


Christian Linderson (Vo)     Dave Chandler (Gt)     Mark Adams (Ba)     Armando Acosta (Dr)

6th : C.O.D. (92)

Scott Readers (Vo)     Dave Chandler (Gt)     Mark Adams (Ba)     Armando Acosta (Dr)

7th : Die Healing (95)

Wino Weinrich (Vo)     Dave Chandler (Gt)     Mark Adams (Ba)     Henry Vasquez (Dr)

8th : Lillie : F-65 (12)

Scott Readers (Vo)     Dave Chandler (Gt)     Pat Bruders (Ba)     Henry Vasquez (Dr)

9th : Saint Vitus (19)


 

 


セイント・ヴァイタス【CD(日本語解説書封入/歌詞対訳付】

 

4️⃣ 考察

Doom Metalがイギリスで生まれたなら、Sludgeはアメリカで生まれました。
Sludgeは単にパンクとメタルを足しただけでなく当時のアメリカの地下音楽シーンがかなり影響しているんですよね。

それによってヨーロッパではない新たなジャンルが生まれたということです。

Saint Vitus, Troubleなどは出だしは別ジャンルですが、ヨーロッパでの人気はすごいです。
ありがたいことに上記2バンド共ライブを見たことあるのですが、どちらも10年以上たった今でも鮮明に映像が浮かぶ印象的なライブでした。

さて、Saint Vitusですが、デビューアルバム一曲目の「Saint Vitus」ですよ。
パンキッシュなリフにサビはメジャーキーという斬新な名曲。

確かにWino加入以降のいかにもDoom Metalという曲も最高ですし、このアルバムの奇跡的なアンバランス感がたまらないんですよね。

2ndではかなりパンクに寄りましたが、それはそれでというより、むしろ斬新です。
ハードコアやSludgeはスクリームが主流ですが、ドゥーミーなボーカルラインに時たま入るノイズがカッコ良いです!

各ミュージシャンの影響がぶつかり合ってそれをまとめる事が出来るDave Chandlerみたいな人がいると言葉は変ですが、完璧なアンバランスというものが成立するんですよね。

オススメですが、「Saint Vitus (84)」はマストですね! 
2nd「Hallow's Victim」も衝撃的です。

あとは、Wino加入後の「Born Too Late」も最高です。「Mournful Cries」も面白い作品ですし、Dokkenプロデュースの「C.O.D」も面白いです。(僕は実はこれが最初のアルバムでした。。笑)

WinoとReagersの完成形という意味ではお互いの新作「Lillie」「Saint Vitus(19)」を聴き比べるのも面白いと思います。
(Reagersは結構モダンにアプローチしています。)

ちなみに⬇️リンクで長らく入手困難になっていた1stアルバムが再版ではなく出回ってます。

アメリカのDoom Metalが気になる方は是非!

ではまた次回!  Stay Metal🤘🤘🤘

 

 


Saint Vitus