Takuya Yada's 重金属ブログ

関西で音楽活動(主にメタル)をしているTakuya Yadaがメタル、イギリス、映画について考察するブログです

マトリックス レザレクションズで考える「真実」とは?

 

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今年の下半期になり急に話題となったマトリックスシリーズの最新作「マトリックス レザレクションズ」。
IMAXが23日で終わるとのことで行って来ました。

今回はネタバレなしで、考察していきたいと思います。


まずはマトリックスシリーズですが、こちらは公開からだいぶん経つので、ネタバレ入れつつ簡潔にあらすじを書きますね。

現実世界だと思っていた世界が実は仮想現実であると知ったアンダーソン。
真実の世界では人間は機械の動力源となりカプセルに閉じ込められ、その魂は仮想現実世界マトリックスで生活をするというものだった。

真実に気付いた人間たちはザイオンという都市を作り反乱軍となり、人間の開放を目的に戦争をする。

っていうのが、基本的なプロットです。
人間vs機械という典型的なSF要素に、人間の魂は仮想現実に閉じ込められているという要素が入ることによってストーリーに深みを出した近代SFの傑作。

スタニスワフ・レムが71年に発表した小説「コングレス未来学会議」にも似た描写が出てくるのですが、コングレスが政治を皮肉ったブラックユーモアであるのに対し、個人的にはマトリックスはウシャウスキー兄弟(今は姉妹)の世界を投影した作品だと思います。

99年マトリックス 公開当時は二人は兄弟でしたが、3の公開後にローレンスがラナに、続いてアンドリューがリリーの姉妹になりました。

トランスジェンダーということ。男性の体に閉じ込められ、真実の自分が分からない、違和感と共に生きて来たあるタイミングで自分はトランスジェンダーで偽りの人生を生きているのではないかという、ふとした疑問から真実の自分を見つける為に、アーティスト活動を初め、その思想とがバッチリハマった「マトリックス」シリーズ完結後に真実の自分を取り戻した。
とも考えられると思うんですよね。

ここから、「レザレクション」の話なのですが、今回はラナの単独監督作品でした。
冒頭からまず感じたのは、「涼宮ハルヒの憂鬱」とTV版「エヴァンゲリオン」。笑

なんかラノベ感がすごかったんです。笑
しかも、本編内で続編の有無を示唆する発言がコメディーっぽくあったりメタ的な要素も入ってて、、

感じたのは、ラナの中でマトリックスは3部作で終わっていて、さらに自分の生きるべき本当の世界まで手に入れたからある種の吹っ切れた感覚を感じました。
しかしながら世界観を壊さずに上手くまとまっていました。

ネタバレなしなので、方向性を変えます。
マトリックスシリーズの中では救世主とされている「ネオ」ですが、仮想現実内でいえば、大悪党のコンピューターウィルス。
現実世界は機械に支配されて戦争ばかりの為、普通に考えて、仮想現実内での妄想の世界での生活の方が快適だと思われます。
ネオが人間を解放できたとしても、ザイオンでの過酷な暮らしを全員が受け入れられるのか?という深いテーマがあります。
しかしながら、シリーズ通して本編ではあくまでネオやその信者の視点のみで描かれるという所にこのシリーズの面白さがあります。


私達のいる世界でもネオの様な異物によりバグ(社会的混乱)が起こると不安感から、「真実」というものに疑問を持つ様になるのは同じです。
「洗脳」や「陰謀論」にたどり着く人に不安感を持つ人が多いのがその例です。

では、真実の世界とは何でしょう?

一つの真実の世界があると仮定して考えてみても、無理がある様に思えます。
誰かの正解は誰かにとって不正解ともなり得ますし、目の見えない方、耳が聞こえない方と健全者が見る世界が全く同じだとはやはり思えなかったりしますよね。

そしてもう一つは、過去の文献から「悟り」を開いた人はすべてを受け入れ黙るということです。

その点で考えて、政治的、社会的に「真実」という言葉を使う人は「真実」と真逆の方向へ向かっている様に思えます。

極論ですが、世界があって人間がいるのではなく、人間がいて世界があるという考え方です。
要は、あなたが死ねば世界が終わるという個人視点的な考え方です。

では、真実とは何かをこの極論に乗せて考えると。
自分が正しいと思ったことを、自分で考えずにそのまま周りに巻き散らす事を続けたり、仮定を立てて考察せずにいると、人は自分を見失っていきます。(コントロールされやすい人間になります。)

例え、自分を否定する結果でも、まずはフラットな視点で物を見る事が出来れば、周りの人間に左右される事は少なくなるはずです。
そして、真実に近づくほど、その真実を大声を上げて伝えようとしなくなります。
なぜかというと、その「真実」はその人だけの「真実」だからです。

物質的に世界は一つというのが仮に真実だったとしても、真実の世界というのは、個人によって違うという事です。

RPGで一回クリアした後に、最初のステージに戻り、その物語の「真実」をこれから始めるプレイヤー達に大声で伝えてると想像してください。
頭おかしいですよね。。笑

結論。  マトリックスシリーズを見る時は視点をネオだけに絞ってみる事で、かなり単純なストーリーで難解映画ではないという事に気づくかと思います。
ネオの行動で良くなった部分しか出てこないし、もし続編があり革命により苦しむ人が出て来るストーリーだったとしても、ネオ視点でのみ描かれ、彼の正解が世界の正解って感じになるのだと思います。

本当によく出来た作品です。
庵野秀明さんがエヴァの続編を作ったら、多分この「レザレクションズ」みたいになるんでしょうね。笑

アクションも迫力ありますので、是非劇場で見ることをお勧めします!!

ちなみにトップの写真はパンフレットなのですが、二種類あり、通常版と豪華版。
通常版は「レザレクションズ」に特化した内容で、豪華版はシリーズ通した考察がなされています。
僕は押井守さんのインタビュー記事が豪華版にしかので、それにしましたが1800円でした。笑
まだ読んでませんがパッとみた感じ値段相応の記事が載っている感じはします。
前田真宏さんが「アニマトリックス」について語ってる記事もありましたし。。

皆様の考察も聞いてみたいですね!!

という事で、「重金属考察」(意味はわかりません。笑)の一回目でした。





泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)